暮らしと住まいについて考えています。
団らんの歴史
今回は団らんについて書こうと思う。

住宅について考えるときに「団らん」とは何かということをいつも考える。
現代の「団らん」とはなんだろうか?家族という概念が崩壊しつつあるとも言われる今の日本でもう一度「団らん」について考えている。食事を家族全員でするということも現代においては難しいことになっているのではないだろうか。

団らんという言葉が日本で出現するのは明治の終わり頃からである。雑誌や小学校の教科書の中にも「家族の団らん」という言葉がでるようになってきた。このころの団らんというのはどうも食後の会話が中心であった。食事中は話しながら食べないというのがこのころの躾だ。 もともと食事は箱膳といわれるようなそれぞれ自分の前に小さなお膳をおいて食べていた。食事中は黙って食べていたのである。しかし、時代背景の中で、国家の最小単位である家族の団結や家族の幸せというのが大切になってきたのだ。家族が会話をしながら、過ごしすという幸せ像をつくる必要があったのだろう。このあとから「ちゃぶ台」が現れるのだが、ちゃぶ台で鍋を囲むというような風景が一般的になるのは30年近く後の戦後のことになる。あのサザエさんの家の風景である。ひとりひとりのお膳があった時からすれば、それは画期的なできごとであったに違いない。そして戦後は家族の団らんとは食事を中心とした会話へと変化していく。戦後、1950年代頃のアメリカの住宅観が輸入され、ダイニングテーブルというのが現われる。こうなると食事は家族のイベントで最も大切なものとなってくる。ちゃぶ台が寝るときにはたたんでその場所も寝る場所であったのに対して、寝る場所と食べる場所が分けられるようになるのだ。まさに現代の間取りの基本形がうまれてくる。1970年代までこのダイニングが間取りの核になり、建築家はジャイアントテーブルというような大きなテーブルをつくり、友人などを招いての日本流ホームパーティなども行われる。それは日本人の家族像のあこがれへともなっていった。だが時代は変わり、町には友人達と食事をする場所もあふれ、家に友人を招待することは少なくなっていった。父親が友人や会社の仲間を連れてくるのもほとんどなくなった。家族も一緒に食事をするというよりはそれぞれの時間で食事をするようになってきた。父親不在の家族が日本の高度成長の中で一般的な風景になる、子供は塾にいき、帰りは10時過ぎ、家族がばらばらの時間を過ごすようになってくるのだ。しかしだからといって「団らん」がなくなったわけではない。ひとつの空間の中でそれぞれが自分の時間を過ごしながら、家族が繋がっているというのが現代の「団らん」とも言える。そんな現代の団らんにあわせた間取りを考えることが大事だと思う。
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