暮らしと住まいについて考えています。
小さなコミュニティーを連携させる
 リアルなコミュニティーの規模はどのくらいに考えたらいいのか。決して大きくしてはいけないというのが私の考えです。
それにはコミュニティーの発生の原理を考えるといいと思います。始めはだれか面白いことや先進的なことをいいだし、そこに人が集まるものです。共感できるメンバーが集まり、その人たちがさらに周りの人を巻き込んでいくでしょう。その周りの人も中心的なメンバーに実際に触れ、その集団の知性を一緒に形成していきます。それはお互いに影響を与えながらひとつの集合体として存在していきます。お互いに顔が見え、言葉が交わされ、気持ちが伝い合う規模です。この集合体をコミュニティーと呼ぶならば、それには大きさの限界があります。そこを超えるとお互いの気持ちが伝わなくなります。さらに大きくしようとすると、離反する新たなコミュニティーが産まれてきます。それはむしろよいことで、コミュニティーにはそうした自由度が必要なのです。細胞のように、コミュニティーが分裂し、増殖していくのです。
 またそれらが連携して生命体のようなつながりがつくれていけば、全体としてさらに大きな集合体へと成長していくでしょう。それを社会というのかもしれないし、大きなコミュニティとも呼ぶでしょう。ですので大きなコミュニティをつくろうとすれば、小さなコミュニティーを連合させると考えた方がいいでしょう。もちろん死んでいく細胞があるように、なくなるコミュニティーも当然受け入れるべきでしょう。それぞれのコミュニティーの大きさはそれぞれの中心のメンバーのキャパシティーとコンセプトの力によって決まることでしょう。
 さてこうした連携するコミュニティーですが、それらをつなぎ止めていくためにはさらなる大きなコンセプトが必要になるでしょう。それが善なるもの、社会の望むべき物であれば大きなものへとなるでしょう。

 こうしたリアルなコミュニティーの考え方、ウェブ上でのコミュニティーを考える時にも類推できます。今盛んに大きなコミュニティを作ろうとする大企業のウェブサイト、コミュニティーとは、持続可能である事が何よりも大切、単に盛り上がりを作る事だけではないという事を意識しながら、注意深く進める事が大事だと思うのです。
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HOUSE VISION
 HOUSE VISIONという研究会を2010年末から行っています。一年間の活動と今後の展開に向けてシンポジウムを今年10月27日から3日間行う予定です。(東京青山Aスタジオにて)

この研究会は、グラフィックデザイナー原研哉氏が、日本の暮らしを「産業」としてもう一度考がえようという投げから生まれました。日本には世界に誇る美意識や高度なテクノロジー、優秀な建築家が多くいるのですが、日本全体として現在のくらしは、今まだ成熟しているとはいいがいたいと言えます。今こそ、住宅産業に関わる様々な人々が参加し、日本の暮らしを再編集し、そのかたちを可視化する必要があると考えたのです。

今までの暮らし方像が成長をモデルとしてきたとするならば、あきらかに時代は変わろうとしています。経済成長も頂点を極め、人口も減り、高齢化していく日本、そのことを解決するならば、ある意味、成長モデルとは反対に、縮小のモデルとして世界をリードする可能性を持っていると言えるのか知れません。そのことを考えたときに、日本の美意識は多くの解決の糸口を持っていそうです。簡素で簡潔な日本文化は、より多くの物を持とうとうする欲望に打ち勝つための新たな価値観となるのかも知れません。これかの暮らし方は、理性によってなりたつ美意識のある暮らし方です。そしてそれをささえるのが、日本の優秀な企業の技術や建築家の創造性なのです。

今日本は、リノベーションや建築家の活動によって、自分の暮らしを自分で考えるという、ある意味当たり前な、しかし、それは今まで実現できなかった時代に入ろうとしています。おしきせの住宅を買い続けてきた日本人が、自分の暮らしを自ら問い直していく時代が来ようとしています。そのことを我々は「新しい常識」と呼んでいます。「新しい常識で家をつくる」こうした試みを実現するためにHOUSE VISIONは作られました。

研究会のメンバーは行政、デベロッパー、ハウスメーカー、住設メーカー、建材メーカー、家具や、流通、先端医療などに関わる多くの企業がカテゴリーをまたがって、参加しています。さらに建築家もここに加わり、今まで7回の研究会や分科会を行ってきました。
シンポジウムでは今までの研究会の総括と、今後の「新しい常識」の家づくりの可能性を企業と建築家とで一緒に語っていく予定です。

HOUSE VISIONは来年2012年秋に東京で展覧会を行い、その後北京、上海、ムンバイと展覧会を行う予定。現在中国での準備も開始しました。来年2月には北京でもシンポジウムを行う予定です。日本の暮らし方を、住宅設備といったような部分的なものでなく、統合した「暮らし方」として見せていくことが必要だ。

今までクローズで行ってきた研究会ですが、いよいよ多くの方に知ってもらえる時期に来たと思っています。この試みを企業、建築家、住み手との交流のプラットフォームとなるように進めていこうと考えています。ご興味のある方はご連絡ください。


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「3R」デザインラボ
 「3R」デザインラボという研究会を丸の内で始めることにしました。環境に関する問題は、どの企業でも、これからの生き方として命題に掲げています。しかし実際にものづくりの段階で多くの課題を抱えているのではないでしょうか。
Co2削減や化石燃料の枯渇など社会資源をどう活用していくのか。また安い労働力を求めて海外の発展途上国との間で起きる社会的な課題など、企業がどのようにこうした課題に答えていくかが問われている時代です。しかしいいことであってもコストの壁を越えられないという大きな問題が常に起きています。それはつくっても売れないという不安から、なかなか取り組めないのが実情ではないでしょうか。

この研究会では、こうした企業の課題を社会の課題として多くの企業やクリエーターと一緒に考えてみようと思います。研究会発足と合わせてオープンセミナーも実施します。有識者や先行する企業の取り組み事例などを紹介しながら、今後の社会のものづくりのモデルをつくっていきたいと考えています。オープンセミナーでは「プロセスから考える」「素材から考える」「社会のニーズから考える」「クリエーターの役割を考える」「伝え方を考える」など当面6回のセッションを予定しています。一回目は9月21日水曜6時から、参加は自由です。

また研究会では、実際にひとつの商品を来年2月までに制作の予定です。リサイクル素材を用いて回収から製品まで、また使用した後の更なるリサイクルまでの仕組み、魅力的なものづくり、街ぐるみで一緒につくる共感の仕組みなど、そのプロセスをマニュアルとしてもまとめていきながら、今後のものづくりの指針にしていきたいと考えています。この「ものづくり」には、丸の内を中心とした大手町、丸の内、有楽町のエリアで働く人や関係するひとたちと一緒に街ぐるみで展開したいと考えています。事務局は三菱地所が運営する「エコッツエリア」に置かれ、運営メンバーには、Granmma、Loft Workなどが加わります。
その他、アドバイザーにオープンスタジオの益田さん。実証実験としてのものづくりには、株式会社「布」の須藤玲子さんに監修をお願いしています。詳細はまた追ってご報告しますが、とても楽しみなプロジェクトです。

この研究会は、ものづくりをしながら、「もの」から「こと」への価値の転換、環境に配慮した物作りがいかに必要かを考えていきたいと思います。そしてクリエータや企業の人々の交流のプラットフォームをつくることを目的としています。

興味のあるかたは、ご連絡ください
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ウェブコミュニケーションと組織の今後
 企業にとって、共感の仕組みをつくることが大事だとだれもが言う時代になりました。SNSなどの活用も多くの企業が行っていますが、そこでの課題は、コミュニケーションから見えてくるユーザーの声をどう本業につなげていくのかということが大事なのでしょう。
でも、今その答えをみんなが探していると感じています。

最近の私の考えは、コミュニケーションに関わる組織をしっかりと企業内部に作る時が来たと思っています。コラムやtwitterやface bookなど多くの場合、企業の誰かが少人数で始めることが多いのですが、これからは組織の中で、企業経営につなげる仕組みが必要な段階に来ているのではないかと思います。

仕組みを作る上でまず3つのチームが必要だと思います。
1 ユーザーとのコミュニケーションを行うチーム。このチームはコンテンツも考える。表層的な盛り上がりの話でなく、企業の未来を提示していく必要があるでしょう。
2 社会の声を社内に伝えていくチーム。このチームは社内のコミュニケーションを担当する。分析したことを、社内の文化に根付かせていくチームです。
3 商品開発やマーチャンダイザーと一緒になってものづくりをするチーム。本業とつなげていくチームです。そしてものづくりのプロセスを公開し、ユーザーとのリレーションを行っていくことも必要です。

この3つのチームに各部署の専門分野のエキスパートを投入。企業の中核に据える必要があります。特に宣伝や広報などもここと密接につながる必要があるでしょう。
これらをひとつの部門として、経営陣と直結していくことで、意思決定のスピードを速めていくことが可能になります。ユーザーとの関係が単に会話で終わるのでなく、そのことが企業の商品開発やサービスの開発に確実に反映してこそ、ブランドは確立されていくのです。

そして共感の仕組みが、本業に反映される仕組みに進化することが、さらなる共感と信頼をつくることになるでしょう。

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潜在意識をどう可視化するのか
 アンケートは潜在意識を読み込むことだと言われます。しかし一体どうやってそれを読み込むことができるでしょうか。随分前に、カウンセラーの友人からアドバイスをもらった大事な考え方があります。それは、彼が患者さんの状態を見る時に、患者さん自身の分析は参考にはするけれど、あくまでも自分で分析をしていくとのこと。その方法は、事実を聞いていくというのです。たとえば今朝起きてからの行動を教えてくださいとか、最近起きたもっとも気になることを教えてくださいというように、クライアントが考えずに答えることのできるような事実に注力するそうです。その事実の積み上げから、その行動とつながる、潜在意識を分析していくというのです。このことは私にとっては大きなヒントになりました。
患者さんは、考えてしまうような質問をしてしまうと、優等生になって、こちらの意図を考えてしまうともいいます。結果的に本当の姿を見つけることが難しくなるそうです。

それ以来、私は、どうして、とか好きですか、嫌いですかといったような質問はしないことにしています。例えば家事のアンケートであれば、朝起きてから寝るまで、何をどのくらいしたか。どこで、誰と、何を、といったような事実を聞いていくことでその実態を分析しようと心がけています。その事実から読みとれること、それが仮説となり、その仮説をまた確かめるためのアンケートやコラムを繰り返していきます。深層心理は、その事実につながる意識を見つけていく作業と言えます。あくまでも仮説を作ることなのですが、繰り返すことによって、その仮説はより確からしいものになるのです。

ちなみに、アンケートを設計する時に担当のMDなどからは、嫌いな理由を聞いてくださいとか、何色が好きか聞いてくださいとか、言われることがありますが、それは聞いてもそこらは何も潜在意識を見つけることはできないと考えた方がいいでしょう。回答者に考えさせてはいけないのがアンケートの基本だと言えます。
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無印良品と私の仕事

無印良品についてよく聞かれることなので少し説明を。。

私は無印良品の社員を2008年に卒業しています。会社には週2回ぐらい行く感じでしょうか。現在は無印良品「くらしの良品研究所」のメンバーです。ということで私自身はフリーランサーです。2008年までは、無印良品の家の住宅事業やマンションなどの他社とのコラボレーション事業などを多く行ってきました。現在もいくつかのコラボレーションプロジェクトも行っていますが、プロヂューサーとして加わっています。

 「くらしの良品研究所」とは、無印良品の中に置かれた組織で、特にサイト上でその活動を展開し、ユーザと意見交換しながら価値を共有したり、また物づくりに対する意見交換をしていく場所です。 私はここのコラムを書いています。「暮らしとは何か」をテーマに書いています。特にここのところのテーマは「成長がとまった経済」に対して、どう向き合っていくのかを考えています。

 また私が建築家であることも理由の一つですが、間取りについての研究は長く続いています。実際に図面に書いて、お客さまから意見をもらったりもします。間取りは暮らしのプログラムです。どんな暮らし方をしたいのかで間取りは変わります。また時代によっても変わっていくものです。その時代ごとの理想像が間取りには反映されます。こうした間取りの背景を考えていくことはとても楽しいことです。

 現代の「暮らしのかたち」を考える。

そのことが私のいきついた今の仕事と言えます。そのことについてできる限りの情報発信やコラボレーションを行っていきたいと思っています。

 

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仮説に基づいたクロス集計に価値がある

アンケート分析するには定量分析、かつクロス集計を多用するほうが効果的だと考えています。この件については以前も少し書いたことがあります。フリーコメントやテキストマイニングは時間も費用もかかるし、しかもそこからの読み込みには専用の解析ツールが必要になりますが、定量分析は簡単にエクセルなどの表計算ソフトで解析、さらに属性ごとのクロス集計をつかうことで新たな視点を見つけやすくなります。
そもそもアンケートでは何かしらの仮説をもってその検証を行うことが大事だと、私は考えていて、まったくのフリーコメントからなにかを発見するのには相当な修練が必要になってきます。
また回答者の方も、さまざまな視点があり、答えが拡散しやすくなってしまいます。ある程度同じカテゴリーの中で、つまりある切り口に基づいた設問に対して回答するような工夫も考えることが大切です。

もちろん定性分析を否定している訳ではありません、有効な場面もあります。たとえばキャンペーンやプロモーションのキーワードを作成するなどについてはとても効果的なアプローチではあるでしょう。
また、商品開発の初期の段階で、まずは全体をみるため、または次のアンケートをつくるためのアンケートなどについてはフリーコメントも有効になると思います。よくそのアンケートの目的を見極めて行っていく必要がありそうです。

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アンケートは不満を聞いてはいけない
アンケートでは不満を聞いてはいけない

目的にもよるが、もし多くのユーザから商品開発や新たなサービスを作り出そうとするなら決して不満や不具合を聞いてはいけないでしょう。なぜなら、多くの不満を聞いてその課題をすべてクリアするには様々な対立する課題を解決していかなければならなくなります。

そもそもアンケートで、不具合や不便などをきけばたくさんの意見はあつまります。機能についても便利な方がいいに決まっています。しかしどうでしょうか、その課題を解決するとなんでもそろっている商品はできるのでしょうが、しかしそれが魅力的な商品には思えません
私がいつも心がけているのは、不満より満足していること、不足より足りていること、または必要のないと感じるもの、こうしたことをなるべく聞くように心がけています。デザインとは機能を付け足していくのでなく、いらないものを削ぎ落としていくことの中にヒントがあると思うからです。そう考えると世の中にある多くのアンケート、どこか違うなあと思います。
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2010年を振り返って
2010年を振り返ってみます。今年は無印良品の「くらしの良品研究所」の活動にどっぷりの一年でした。本当は無印から独立して自分の仕事へと移行しようと考えていたのですがなかなかそうした方向に進めませんでした。研究所は設立からちょうど1年、サイトも充実。研究所の同僚徳永さんと二人三脚で書いた毎週のコラムも50本を超えました。また暮れには、無印の店舗に置く店舗用リーフ「くらし中心〜そうじを楽しく」、「〜すっきり暮らしたい」の2冊を発刊。そのほか10月に無印有楽町店で行った「世界を変えるデザイン展2」を機にGRANMAの本村さん達と一緒に環境プロダクトの可能性にも取り組んでいます。三菱地所が中心になって運営しているエコッツエリアとも連携しながら、来年は東京を中心に3Rのものづくりと題してワークショップなどを行う予定です。デザインの可能性を考えるよい機会と思っています。

また数年かかわってきた「みんなで考える住まいのかたち」のサイトについてはその職務を離れ、個人的にデベロッパーなどでその経験を生かしていくつかの具体的なプロジェクトに関わらせてもらっています。

昨年から今年にかけてはマンション、戸だての商品開発、まちづくりなども、取り組んできたものが実現してその評価も問われました。うれしいことに「しろい小町」、「スタイルハウス自由が丘」「MUJI VILLAGE」はグッドデザイン賞を受賞しました。「MUJI VILLAGE」では住まい後も住人祭というイベントの運営に携わり、絶てた後のコミュにティーをどう形成して行くかということについても追求しています。講演もいろいろ行いましたが、アンケートの取り方やその分析の手法についての講演も多く、仕事の幅も随分と広がった1年でした。

最近考えていることはもう一度かつて行っていた「間取りの研究」を深化させて行こうと。原点に返り、建築家として「暮らしと住まい」について間取りを通して考えて行きたいと思っています。また環境の視点での家づくりや緑をどう家の中に取り込んで行くか、について考えて行こうと思っています。
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アイロンはどこでかけるのか
 アイロンはどこでかけるのでしょうか。
この設問は何度となく繰り返してきました。動線を考えたとき、意外と多いのが寝室のベッドの上と答える人が多いのです。でも時間がまにあわず、そのまま、夜になってベッド脇のどこかに取り込んだ洗濯物が一泊してしまうという方も多いのではないでしょうか。またリビングでアイロンをかける人も多いでしょうが、やはりソファの上に洗濯物が山積みになってしまう方もいるでしょう。せっかくのくつろぎの空間が、洗濯物で散らかっていては、とても残念です。

そうしたことを解決するために、家事室があればいいと考え、そうした提案も何度かしてきました。しかしそれはそれで、家事を一人閉じこもってしたくない、まるで家政婦のようだ、などという声も読者から多く聞きました。家事は家族にも参加してもらって手伝ってもらう、テレビをみたり話をしたり、家族と一緒に過ごしたいという方も多いようです。

そこで考えたのですが、たとえばダイングテーブルとは別にリビングのワークスペースとしてのワーキングデスクがあるのはどうでしょうか。子供も勉強したり、裁縫もそこでしたり、多少散らかっていても、そのまま料理などの準備にかかれるようなスペースをもつのはどうでしょうか。

現代の家事の考え方として「家族と一緒に過ごす家事」というのもありそうです。
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